http://mtg-jp.com/eventc/ptams10/article/008381/
この記事がすごい反響を読んでいる。一部ではライターを批判する声もあったが、ここまで周囲に反応を与えたら、それはもう書いたほうの勝ちであって素直に脱帽すべきだろう。内容に賛成・反対はともかく記事は読まれてナンボである。DNで日記を書く諸兄がアクセス数を気にするがごとく、読まれてナンボの世界なのである。どれだけ良い意見を言おうが大多数に読まれて初めて効果があるわけである。天才ライターなのかもしれん。
なんにせよ自分もこの記事に触発された人間の一人なので雑多な感想でも述べようと思う。
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「日本人はなぜ勝てなかったのか」。当たり前かもしれないが賛成できる点とそうでない点がある。今回勝てなかったのは「そういう時もある」で済ませられると思うけどここ最近勝てなくなってきたというのなら、やはり原因があるのだろう。
では記事をおってみよう。
●大会形式の変化
構築+限定のフォーマットが日本人に合っていないのかどうかはよくわからない。そうかもしれないし、違うかもしれない。ただいずれにせよそれは他国の人間にも当てはまる事ではなかろうか。これは少しまとはずれな感がある。
●構築での失敗
▼練習不足
時間のやりくりが難しいのは日本人だけの問題ではないだろう。今回時間が取れなかったというのならそれは仕方ない。次回からそれを取るだけの話だ。恒久的に時間を取れなくなってきたのなら、それはすなわち引退の時期だろう。誰しも夢の中に永遠にいられるわけではない。
▼ビルダーの不在
実力を持ったビルダーが引退してしまうのは仕方の無いことだ。その影響は少なからずあると思われる。これは日本衰退の要因の一つかもしれない。
個人的な感覚としてビルダーとは先天的な資質である。無限のカードプールからマスターピースを見つけ出す素質は後から学習しようとしてもそう簡単に身につくものでは無く思える。となると日本の躍進には世界レベルで戦えるビルドが可能な才能あふれた人間を見つけ出す事が必要不可欠なのではなかろか。
▼情報戦
情報戦に負けた。これは事実かもしれない。というよりもむしろコレまで数年間日本が優位にいた理由もココにあるのかもしれない。日本人は英語が苦手で...という話が出ていたけれど外国人が日本語を操れるかどうかを考えてみたら、まだ日本人の方が相手の情報を理解する力があるだろう。英語のサイトが見れないという意見もあったが、我々日本人が英語のサイトを見るよりも逆の方が難しかろう事は容易に想像できる。つまりこれまで日本は一方的に情報を搾取してきたのである。人からアイデアを盗むのに自分のものは隠蔽する。意図したものではないにせよ日本という島国が産み出した環境が事を優位に運んでいたのかもしれない。
しかしそれもここ数年の日本の跳梁跋扈により瓦解する。海外のマークが張り付き、日本の情報優位性が失われたのだ。日本人が海外サイトを見るように海外もまた日本の情報を手に入れるようになっただけの事である。日本の情報だけが漏れているわけではない。
世界の情報は元から漏れていたのだ。
むしろプロツアーに持ち込むレベルのデッキをテストするコミュニティを作り上げる事が必要だろう。草の根大会に持ち込んだデッキの情報が漏れたなんていうのは当たり前の事だ。
●リミテッドでの失敗
リミテッドで勝てない、というのでは現在の大会形式で勝利することは難しいだろう。個人的な見解だが、m;tgの実力をより問われるのがリミテッド、特にドラフトだと思う。
構築は正直なところ実力のあるビルダーが構築したデッキをシェアしてもらい、少し練習すればPTで勝てるという事がある。変な話、それほどm;tgが上手くなくてもデッキさえ強ければある程度の腕さえあれば簡単に勝ってしまうわけである。これが巷にコピーデッキが溢れる理由である。
ところがリミテッドはそうはいかない。ドラフトにおいては周囲の人間がどのようなデッキを作っているのかを想像し、また環境にあったアーキタイプを理解し、またコンボに精通し、限られたカード群の中から最適解を見抜く力が要求されるのである。これは一朝一夕に身につくものでは無い。素人では勝てないのだ。強い構築デッキは容易に手に入るが、強いドラフトデッキは己で勝ち取る必要がある。PTQやGPをシェアデッキやコピーデッキで抜けても、肝心のリミテッド力というものは身につかない。
今回たまたま勝てなかったというのであれば、それはM11に関する勉強不足であり、今後新たな環境においてきちんと練習すれば問題は無くなるはずだ。
またリミテッド部門が苦手なのであればm;tgというゲームをもう一度きちんと勉強する必要があるだろう。リミテッドに限った事では無いがマナ効率、ライフレース、アドバンテージ、テンポ、etc...勝つために理解しなければならない事は多くあり、その必要性は構築よりもリミテッドにおいて如実に現れる。
つまり私からするとリミテッドで慢性的に勝てないならばm;tgの実力不足であり、スポット的に勝てなかったのなら環境の理解不足ということになる。
●コミュニティの喪失
トッププロのメンバーの少なくない人間が非常にアクティブでオープンだと記憶している。かつてプロツアーに出場した際に、この度殿堂入りした斉藤氏と対戦した。初対面ではあったがこちらは向こうを知っていた。対戦そのものはつつがなく終了し、その後二人とも二日目に残った。翌日、彼が私に声をかけてきた。「調子はどうですか」と。最初私は自分が声をかけられたものとは気づかなかった。なぜなら初対面の私の事など記憶に留めていないだろうと思ったからだ。無視して歩き続ける私は呼び止められ、そのとき初めて彼の人柄を感じた。また日本選手権で復活した森氏。どこで対戦したか忘れたが、彼と初めて対戦するまではあまりよい印象を持っていなかった。失礼を承知で言うとどこか胡散臭く思っていたのだ。しかし実際に対戦し、その後も会話をしてみるとそれまでの印象が全く間違ったものだと思い知らされた。彼もまた好青年だった。
横のつながりを作るのが苦手という人間ばかりでもあるまい。またリーダーというのは必要に応じて現れるものでもある。コミュニティの過疎を嘆くのではなく、新たな仲間を探し、受け入れる度量を身につけようとする意識がプロには必要なのではないだろか。
この記事がすごい反響を読んでいる。一部ではライターを批判する声もあったが、ここまで周囲に反応を与えたら、それはもう書いたほうの勝ちであって素直に脱帽すべきだろう。内容に賛成・反対はともかく記事は読まれてナンボである。DNで日記を書く諸兄がアクセス数を気にするがごとく、読まれてナンボの世界なのである。どれだけ良い意見を言おうが大多数に読まれて初めて効果があるわけである。天才ライターなのかもしれん。
なんにせよ自分もこの記事に触発された人間の一人なので雑多な感想でも述べようと思う。
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「日本人はなぜ勝てなかったのか」。当たり前かもしれないが賛成できる点とそうでない点がある。今回勝てなかったのは「そういう時もある」で済ませられると思うけどここ最近勝てなくなってきたというのなら、やはり原因があるのだろう。
では記事をおってみよう。
●大会形式の変化
構築+限定のフォーマットが日本人に合っていないのかどうかはよくわからない。そうかもしれないし、違うかもしれない。ただいずれにせよそれは他国の人間にも当てはまる事ではなかろうか。これは少しまとはずれな感がある。
●構築での失敗
▼練習不足
時間のやりくりが難しいのは日本人だけの問題ではないだろう。今回時間が取れなかったというのならそれは仕方ない。次回からそれを取るだけの話だ。恒久的に時間を取れなくなってきたのなら、それはすなわち引退の時期だろう。誰しも夢の中に永遠にいられるわけではない。
▼ビルダーの不在
実力を持ったビルダーが引退してしまうのは仕方の無いことだ。その影響は少なからずあると思われる。これは日本衰退の要因の一つかもしれない。
個人的な感覚としてビルダーとは先天的な資質である。無限のカードプールからマスターピースを見つけ出す素質は後から学習しようとしてもそう簡単に身につくものでは無く思える。となると日本の躍進には世界レベルで戦えるビルドが可能な才能あふれた人間を見つけ出す事が必要不可欠なのではなかろか。
▼情報戦
情報戦に負けた。これは事実かもしれない。というよりもむしろコレまで数年間日本が優位にいた理由もココにあるのかもしれない。日本人は英語が苦手で...という話が出ていたけれど外国人が日本語を操れるかどうかを考えてみたら、まだ日本人の方が相手の情報を理解する力があるだろう。英語のサイトが見れないという意見もあったが、我々日本人が英語のサイトを見るよりも逆の方が難しかろう事は容易に想像できる。つまりこれまで日本は一方的に情報を搾取してきたのである。人からアイデアを盗むのに自分のものは隠蔽する。意図したものではないにせよ日本という島国が産み出した環境が事を優位に運んでいたのかもしれない。
しかしそれもここ数年の日本の跳梁跋扈により瓦解する。海外のマークが張り付き、日本の情報優位性が失われたのだ。日本人が海外サイトを見るように海外もまた日本の情報を手に入れるようになっただけの事である。日本の情報だけが漏れているわけではない。
世界の情報は元から漏れていたのだ。
むしろプロツアーに持ち込むレベルのデッキをテストするコミュニティを作り上げる事が必要だろう。草の根大会に持ち込んだデッキの情報が漏れたなんていうのは当たり前の事だ。
●リミテッドでの失敗
リミテッドで勝てない、というのでは現在の大会形式で勝利することは難しいだろう。個人的な見解だが、m;tgの実力をより問われるのがリミテッド、特にドラフトだと思う。
構築は正直なところ実力のあるビルダーが構築したデッキをシェアしてもらい、少し練習すればPTで勝てるという事がある。変な話、それほどm;tgが上手くなくてもデッキさえ強ければある程度の腕さえあれば簡単に勝ってしまうわけである。これが巷にコピーデッキが溢れる理由である。
ところがリミテッドはそうはいかない。ドラフトにおいては周囲の人間がどのようなデッキを作っているのかを想像し、また環境にあったアーキタイプを理解し、またコンボに精通し、限られたカード群の中から最適解を見抜く力が要求されるのである。これは一朝一夕に身につくものでは無い。素人では勝てないのだ。強い構築デッキは容易に手に入るが、強いドラフトデッキは己で勝ち取る必要がある。PTQやGPをシェアデッキやコピーデッキで抜けても、肝心のリミテッド力というものは身につかない。
今回たまたま勝てなかったというのであれば、それはM11に関する勉強不足であり、今後新たな環境においてきちんと練習すれば問題は無くなるはずだ。
またリミテッド部門が苦手なのであればm;tgというゲームをもう一度きちんと勉強する必要があるだろう。リミテッドに限った事では無いがマナ効率、ライフレース、アドバンテージ、テンポ、etc...勝つために理解しなければならない事は多くあり、その必要性は構築よりもリミテッドにおいて如実に現れる。
つまり私からするとリミテッドで慢性的に勝てないならばm;tgの実力不足であり、スポット的に勝てなかったのなら環境の理解不足ということになる。
●コミュニティの喪失
トッププロのメンバーの少なくない人間が非常にアクティブでオープンだと記憶している。かつてプロツアーに出場した際に、この度殿堂入りした斉藤氏と対戦した。初対面ではあったがこちらは向こうを知っていた。対戦そのものはつつがなく終了し、その後二人とも二日目に残った。翌日、彼が私に声をかけてきた。「調子はどうですか」と。最初私は自分が声をかけられたものとは気づかなかった。なぜなら初対面の私の事など記憶に留めていないだろうと思ったからだ。無視して歩き続ける私は呼び止められ、そのとき初めて彼の人柄を感じた。また日本選手権で復活した森氏。どこで対戦したか忘れたが、彼と初めて対戦するまではあまりよい印象を持っていなかった。失礼を承知で言うとどこか胡散臭く思っていたのだ。しかし実際に対戦し、その後も会話をしてみるとそれまでの印象が全く間違ったものだと思い知らされた。彼もまた好青年だった。
横のつながりを作るのが苦手という人間ばかりでもあるまい。またリーダーというのは必要に応じて現れるものでもある。コミュニティの過疎を嘆くのではなく、新たな仲間を探し、受け入れる度量を身につけようとする意識がプロには必要なのではないだろか。
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